
工事における進捗確認や品質を証明するためには、現場の記録が必要となりますが、文章だけの報告書ではなかなか詳細には伝わらないもの。そんな時に役立つのが「工事写真台帳」です。
今回は、この工事写真台帳の目的や役割とともに、具体的な作り方をステップごとに解説。さらに、台帳作成を効率的にするための写真管理アプリの選び方についてまとめていきます。「工事写真台帳の作り方について、基本から把握しておきたい」「もっと効率的に台帳作成できないか」とお考えの方の参考となる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。
- 1.工事写真台帳とは?目的や役割は?
- 2.工事内容の記録保存
- 3.品質管理・検査
- 4.ノウハウの蓄積
- 5.6つの手順で解説!工事写真台帳の作り方
- 6.工事写真台帳の作り方①:工事写真の撮影計画を立てる
- 7.工事写真台帳の作り方②:工事黒板を用意する
- 8.工事写真台帳の作り方③:写真を撮影する
- 9.工事写真台帳の作り方④:表紙を作成する
- 10.工事写真台帳の作り方⑤:写真を貼り付ける
- 11.工事写真台帳の作り方⑥:工事情報を追記する
- 12.【工事写真台帳の作り方】作成時に使用するツールは?
- 13.エクセルで作成する
- 14.無料のテンプレートやフリーソフトで作成する
- 15.工事写真アプリを活用する
- 16.工事写真台帳を効率的に作成!写真管理アプリの選び方
- 17.搭載されている機能
- 18.現場での使いやすさ
- 19.サポート体制
- 20.工事写真台帳の作成に役立つアプリ
- 21.電気工事のDXトータル支援サービス「DEN-UP(デンナップ)」
工事写真台帳とは?目的や役割は?
工事写真台帳とは、その名の通り、工事写真をまとめた台帳のこと。施工内容や品質に問題がないかを証明するために、工事開始から完了までの施工の様子を写真に収めてアルバム形式にまとめるのが一般的です。
この工事写真台帳には、さまざまな目的や役割があります。
工事内容の記録保存
工事写真台帳の第一の役割は、工事内容や使用材料の記録保存です。
写真であれば、工事現場の様子を視覚的にわかりやすく伝えることができるため、工事の打ち合わせや進捗報告などにも使用することができます。また、壁の中や天井裏など、工事を進めていくうちに目視で確認できなくなる部分があったとしても、施工箇所を写真に残しておくことで、後から確認する際にも役立ちます。
品質管理・検査
工事写真台帳は、適切に施工が行われた証拠として、工事の品質管理や施主検査などにも活用されます。
台帳では一定の規則に従って詳細な記録を残しておくため、発注者との認識がずれていたり、施工不良を指摘されたりした場合でも、その記録と照らし合わせながら適切に施工が行われたかどうかを証明することができます。つまり、万が一、トラブルが発生した場合でも、工事写真台帳が証拠となり、早期の解決が見込めるのです。
ノウハウの蓄積
工事写真台帳には、工事内容の記録保存や品質証明だけでなく、現場のノウハウ・知識を蓄積するという役割もあります。
工事の詳細を記録しておくことで、同じような内容の発注があった際に、当時のノウハウを参考にしながら工事計画を立てることができます。特に工事写真台帳なら、各施工箇所の写真を残してあるため、次回の工事に活用できるスキルや改善点を見つけることにも有効。それらのノウハウを蓄積していけば、効率的に工事を行ことができるようになります。
6つの手順で解説!工事写真台帳の作り方

では、ここからは工事写真台帳の作り方についてご紹介します。具体的にどのように作成すべきなのか、下記の6つの手順に分けて解説していきますので、ぜひ参考にしてみてください。
- 工事写真の撮影計画を立てる
- 工事黒板を用意する
- 写真を撮影する
- 表紙を作成する
- アルバム形式で写真を並べる
- 工事情報を追記する
工事写真台帳の作り方①:工事写真の撮影計画を立てる
工事写真台帳を作成するにあたって、まず必要なのは工事写真の撮影計画です。
工事写真台帳では、着手前写真や施工状況写真など、さまざまな写真が必要となります。そのため、どのような写真が必要になるのか、また、着工前・施工中・施工後のどのタイミングでの撮影が必要なのか・・など、あらかじめ確認してから撮影の計画を立てておきましょう。
工事写真台帳を作成する際は、国土交通省の「写真管理基準」をもとにして作成するのが一般的です。ただし、発注者によっては独自の規定を持つところもあるため、国土交通省の「写真管理基準」に示されているよりも多くの種類の写真が必要となるケースもあります。
そのため、台帳用の写真を撮影する前には、「うっかり写真を撮り逃した!」ということがないように、しっかりと撮影計画を立ててから撮影に臨みましょう。
工事写真台帳の作り方②:工事黒板を用意する
工事写真台帳の作り方、次のステップは工事黒板の準備です。
工事黒板とは、工事名や撮影時期などの写真に写らない情報を補足する黒板のこと。工事黒板には、従来のようにチョークで直接書き込む木製黒板のほか、最近ではスマートフォンやタブレットで簡単に使用できるデジタル黒板もあるため、写真撮影を行う際には、それらもあわせて準備しておきましょう。
なお、工事黒板には、下記のような項目を記載しておくのが一般的です。
- 工事名
- 工事種目
- 撮影部位
- 寸法、規格、表示マーク
- 撮影時期
- 施工状況
- 立会者名、受注者名
- その他
なお、工事写真を撮影する際は、必要な項目を記載した黒板(白板)を文字が判読できるようにした上で、撮影対象と一緒に撮影する必要があります。
参考:国土交通省の「営繕工事写真撮影要領 令和5年版」
工事写真台帳の作り方③:写真を撮影する
工事写真の撮影計画と工事黒板の用意ができたら、次はようやく写真撮影です。「工事写真の作り方①」で作成した計画に基づいて、撮り忘れがないように撮影を行っていきます。
工事写真の撮影を行う際には、以下の点に注意しながら撮ると良いでしょう。
- 撮影前にカメラの設定を確認しておく
- 複数の角度から撮影する
- どの場所から撮影したか撮影位置を記録しておく
- 明るさを調整して対象を鮮明に写す
- 測定尺を使って撮影対象の寸法がわかるようにする
- 撮影後はその場で写真が上手く撮れているか確認する
撮影する際に注意が必要なのが、撮影した写真は原則あとからの編集はできないということ。国土交通省の「写真管理基準」では、「写真の信憑性を考慮し、写真編集は認めない。」としています。そのため、撮影後はその場ですぐに写真を確認し、明るさは問題ないか、必要なものは全てはっきりと写っているか、黒板の記載内容に間違いはないかなどをチェック。万が一に備えてそれぞれ複数枚ずつ撮影しておきましょう。
工事写真台帳の作り方④:表紙を作成する
工事写真台帳の作り方の4つ目の手順は、表紙の作成です。工事写真台帳では、いつどこで実施された工事かということがすぐにわかるように、下記のような項目を入れて表紙を作成します。
- 工事番号
- 工事名
- 工事箇所
- 工期
- 施工会社
- 作成日
上記のような項目を入れておくことで、複数の現場の台帳を取り扱う場合でも、取り違えミスを防止することができます。
工事写真台帳の作り方⑤:写真を貼り付ける
表紙の作成が終わったら、次は工事写真台帳にアルバム形式で写真をまとめていきます。
なお、写真を貼っていく際には、次のような点を意識すると見る側も把握しやすくなります。
- 場所と時系列ごとにまとめて貼り付ける
- 関連する作業や工程をグループ分けする
- 比較しやすいように完成前後の写真を見開きにする
- 写真のサイズ・向きを統一する
工事写真台帳に写真を貼っていく順番については、国土交通省の「写真管理基準」に記載されている下記の順序で並べていくのが通例です。
【写真を並べる順序】
- 着手前及び完成写真
- 施工状況写真
- 安全管理写真
- 使用材料写真
- 品質管理写真
- 出来形管理写真
- 災害写真
- 事故写真
- その他(公害、環境、補償等)
もし、発注者側から指定されている写真の管理基準がなければ、国土交通省の「写真管理基準」に従って写真を管理していくのが良いでしょう。
工事写真台帳の作り方⑥:工事情報を追記する
工事写真を貼り終わったら、空いたスペースに補足として下記のような情報を追記します。
- 工種
- 測点(位置)
- 設計寸法
- 実測寸法
- 略図
工事黒板内に記載されている場合は必要ありませんが、黒板の文字が判別しにくい場合や情報が不足している場合などは、この部分に補足情報を記載しておくとよいでしょう。
【工事写真台帳の作り方】作成時に使用するツールは?

ここまで工事写真台帳の作り方の手順についてまとめてきましたが、実際に台帳を作成する際には、各種ツールを使用して作成するのが一般的です。
ここでは、工事写真台帳を作成するにあたって一般的に利用されているツールについてご紹介します。
エクセルで作成する
表計算ソフトとして多くの企業で使用されているエクセルは、工事写真台帳を作成する際にも活用できます。
エクセルだと使い慣れているという人も多いため、必要な項目を整理してテンプレート化しておけば、必要な情報を入れていくだけで工事写真台帳が作成可能です。
ただし、写真や文字の位置など微調整ができなかったり、写真を大量に貼り付けるとデータが重くなってしまったりということがあるため、きれいに作成するには少々コツが必要なケースも。さらに、セキュリティ対策が不十分な場合は情報漏洩のリスクもあるため、特に機密性の高い案件の場合には取り扱いに注意が必要です。
無料のテンプレートやフリーソフトで作成する
前述のエクセルで作成されたものを含め、Web上には無料で配布されている工事写真台帳のテンプレートやフリーソフトがあります。既にテンプレート化されているものであれば、自作する時間やコストを削減することができますし、高度なスキルも必要ないというメリットがあります。
それらを活用することで、費用を抑えながら工事写真台帳を作成することはできますが、エクセルテンプレートの場合は、前述したようなセキュリティ面での懸念点は残ります。また、フリーソフトの場合は、無料だと機能が制限されていたり、無料で使用できる期限が設定されていたりするため、使用する際には、あらかじめ使用条件やセキュリティについて確認しておきましょう。
工事写真アプリを活用する
工事写真台帳を作成する際はエクセルやフリーソフトを活用することもできますが、効率的に満足度の高い台帳を作成するなら、スマートフォンやタブレットで利用できる専用の工事写真アプリがおすすめです。
工事写真を効率的に管理できるアプリであれば、現場に工事黒板を持っていかなくても、あとからデジタルで貼り付けることができたり、スマートフォンやタブレットで撮影した工事写真を自動でフォルダに振り分けてクラウドで保存したりすることも可能。中には、工事写真を図面位置と紐づけて記録する機能を持ったアプリもあるため、工事写真台帳を作成する際に非常に便利です。
もちろんコストはかかりますが、その分、事務作業の効率が大幅に上がるため、費用対効果を比較しながら検討すると良いでしょう。
工事写真台帳を効率的に作成!写真管理アプリの選び方

工事写真台帳を効率的に作成するなら、やはり写真管理アプリを活用するのがおすすめです。しかし、最近はさまざまな機能を持ったアプリがあるので、どう選べばよいか分からない…という方も少なくありません。
そこで、ここからは写真管理アプリをどういったポイントから選べば良いのかについてまとめていきます。
搭載されている機能
工事写真アプリを選ぶ際には、まず自社の目的に合わせて必要な機能が揃っているかを確認しましょう。
使用端末 | スマートフォン・タブレット・パソコン等、対応可能な端末は? 各端末間でのクラウド連携や共有機能はあるか |
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写真撮影・データ管理 | 撮影した写真の自動振り分けはできるか タグ付けや図面位置との紐付けは可能か 撮影した写真から工事写真台帳が簡単に作成できるか |
工事黒板 | 工事黒板は作成できるか テンプレートの種類やカスタマイズ性はどうか |
その他 | 公共事業における最新の電子納品ガイドラインに対応しているか 改ざん防止機能はあるか セキュリティ対策が施されているか |
昨今の工事写真アプリにはさまざまな機能が搭載されていますが、どれだけ機能が充実したアプリでも目的の機能がなければ意味がありませんし、逆に機能が多すぎても使いづらくなってしまうケースもあります。そのため、写真管理アプリを選ぶ際には、どの機能が必要なのか優先順位を付けておき、それらが搭載されている、また、現場が使いやすいと感じるアプリを選ぶようにしましょう。
現場での使いやすさ
工事写真アプリを選ぶ際には、現場での使いやすさも重要です。
近年では、スマートフォンやタブレットが急速に普及しているとはいえ、普段は現場にいることが多い職人や年配の作業員などは、業務にITツールを使用するというやり方に慣れていないケースも珍しくありません。中には、「使い方がわからないから、これまでのやり方でやる」とアプリを導入しても最終的に使わなくなってしまうケースも。
ですので、アプリを選ぶ際には、写真撮影から写真の整理・管理にいたるまで簡単に操作できるか、誰でも直感的に操作できるか…というような点を考慮した上で選ぶようにしましょう。
サポート体制
サポート体制が充実しているかという点も、工事写真アプリを選ぶ際には確認しておきましょう。
アプリによっては導入時のサポートだけでなく、導入後、「導入はしたものの上手く社内で活用できない」「社内に上手く浸透しない」…といった場合にアドバイスがもらえたり、工事の施工管理に関わるほかのアプリとの連携やビジネスマッチングなどで業務をサポートしてくれるサービスもあるため、あらかじめ確認しておくと安心です。
工事写真台帳の作成に役立つアプリ
工事写真台帳を効率的に作成するなら、私たち「DEN-UP」がご提供している「PhotoManager」がおすすめです。
「PhotoManager」なら、過去に同じ場所で撮影した際の画角を表示して撮影をサポートしてくれるほか、図面位置と写真を紐づけて記録することが可能。さらに、撮影した写真を自動的にフォルダに振り分けてくれるため、工事写真を管理する際の手間を大幅に軽減することができます。
【主な機能】
- 図面位置と紐づけて各時点の写真を記録・参照
- 過去の撮影画像を表示して撮影画角の調整をサポート
- 電子小黒板アプリで写真を撮影してクラウド保存OK
- 保存写真で簡単に台帳作成
- 公共事業における最新の電子納品ガイドラインに対応
- 特殊な工事用語でもスムーズに音声入力可能
「写真台帳を綺麗にまとめるにはどうすればよいのだろう…」
「現場の業務負担を少しでも軽減したい」
…と悩まれている担当者の方は、ぜひ一度、私たち「DEN-UP」にご相談ください。
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