「工事完了報告書」は、工事の詳細や写真を載せて、発注者に工事が完了したことを報告する大切な書類です。この工事完了報告書には、具体的にどのような項目を記載しておけば良いのでしょうか?

今回は、工事完了報告書の役割や工事写真台帳との違いについて詳しく解説。工事完了報告書に記載すべき項目とは何か、その注意点や効率化する方法についてまとめていきます。

「工事完了報告書には、どんなことを書けばいい?」「もっと効率的に作成する方法は?」…と、お悩みの方の参考になる内容となっていますので、ぜひ最後までご覧ください。

工事完了報告書とは?

工事完了報告書とは、電気工事をはじめとする各種工事が完了したことを報告するための書類のことです。

この工事完了報告書は、工事の内容や使用した資材のほかに、品質検査の結果や工事写真などの情報を整理して作成するのが一般的。特に法律で決められたフォーマットがあるわけではありませんが、発注元から指定された形式がある場合や公共工事の場合は、指定のガイドラインに沿って作成する必要があります。

工事完了報告書は、報告書として以外にもさまざまなケースで役立てることができます。ここでは、代表的な3つの役割についてまとめていきますので、参考にご覧ください。

報告書としての役割

工事完了報告書は、工事の内容を記録することで、工事の進捗状況や結果を関係者に報告する役割があります。この報告書を提出することで発注通りに工事が完了しているか、適切な手順で施工されたか…などが確認できるため、その後のメンテナンスや改修を行う際にも役立てることができます。

証拠としての役割

工事完了報告書には、工事の実施状況や品質検査の結果などが記録されているため、トラブルが発生した際の証拠にもなります。

例えば、工事完了後に発注者から「使用されている資材が指定のものとは異なるのでは?」と、異議が申し立てられたとします。そのような場合でも、工事完了報告書には使用した材料が記載されているため、それらと照らし合わせて確認すれば早期の解決が見込めます。

そのため、写真提出の指示がない案件であっても、あらかじめ工程ごとに写真を撮影して工事完了報告書に入れておくと、工事後のトラブルを未然に防ぐことができます。

ノウハウの蓄積のための役割

工事完了報告書には、工事のノウハウや知識を蓄積するという役割もあります。

報告書内には工事の詳細が記録されています。それらを過去事例として蓄積していくことで、改善点やトラブルの傾向を把握することができ、その後の工事を効率的に行うことができるようになります。

工事完了報告書と工事写真台帳の違い

工事を行う際に作成する資料には、工事完了報告書以外に工事写真台帳というものがあります。工事写真台帳とは、工事写真をまとめた台帳のことで、工事完了報告書と同様に、施工内容や品質に問題がないかを証明する際にも使用されます。

この工事完了報告書と工事写真台帳は、どちらも工事に関する書類ですが、それぞれ目的や内容が異なります。

工事完了報告書 工事写真台帳
目的 工事が発注通りに完了したことを報告する正式な文書 工事の進行状況や施工内容を写真で記録するための書類
用途 工事完了の報告
契約履行の証拠
完成後の管理やメンテナンスの資料 …など
工事品質や目視できない部分の確認
トラブル時の証拠資料…など
内容 工事概要、完成図面、使用材料、検査結果、完成写真…など 工事の開始から完了までの各工程、使用材料、安全管理などの写真
フォーマット 特に決まりはない 国土交通省の「写真管理基準(※)」に記載されている順序でまとめるのが通例

わかりやすくまとめると、工事完了報告書は正式な報告書として、工事写真台帳は詳細な記録として使用される点に違いがあります。そのため、それぞれの特性に基づいて適切に作成することが求められます。

関連記事:「工事写真のまとめ方とは?台帳に必要な項目や作成手順・写真の順番について解説

写真も必要?工事完了報告書に記載すべき項目

工事完了報告書を作成する際には、どのような項目を書いておく必要があるのでしょうか?

工事完了報告書については、国で定められた様式があるわけではありませんが、一般的には下記のような項目を記載しておきます。

工期

工事完了報告書には、いつ行われた工事なのかを明確にするために、着工日から工事完了日までを記載します。
もし、天候や災害によって当初の予定から工期が遅れた場合などは、変更後の工期とあわせて理由も書いておくと良いでしょう。

工事現場名

工事完了報告書で忘れてはならないのが、工事を行った現場名です。
現場の住所や建物の名称を記載するほか、大規模な工事の場合は、どのエリア・どの部分の工事を担当したのかを明記しておくようにしましょう。

工事内容

工事完了報告書には、どのような工事をしたかについても詳しく書いておきましょう。
先程も少し触れましたが、特に工事の規模が大きくなると複数の業者が出入りすることになります。そのため、どこをどのように施工したのかが判断できるように、わかりやすくまとめておきましょう。

工事費用

次に工事完了報告書に記載しておきたいのが、工事費用です。総費用だけでなく、資材費や人件費・機械や設備費など、項目ごとの費用の内訳を出しておくことで、費用の透明性を確保します。

工事業者・担当者名

工事完了報告書では、工事を行った業者名や担当者名も忘れずに記載、必要に応じて署名・捺印を行います。
連絡先を明確にしておくことで、問い合わせや相談があった際の対応がスムーズになります。

工事完了写真

工事完了報告書には、工事が完了した際の写真も載せます。特に着工前・着工後の写真を並べて比較しておくことで、どのように変化したかが判断しやすくなりますし、文字だけで説明するよりも多くの情報を伝えることができます。

なお、発注者側で規定がある場合はもちろん、公共工事を請け負う場合は、完了時の写真だけでなく、特定の工事写真の提出が必要になるため、あらかじめどのような写真が必要なのかを確認しておくと良いでしょう。

報告書だけじゃない!工事写真の重要性

工事がどのように行われたかをわかりやすく報告するには、工事写真が欠かせません。工事写真を撮影しておくことで、工事前後でどのように変化したかが一目でわかるだけでなく、施工中の様子を写真に収めておけば適切な工程で施工したという証明にもなります。

発注元から工事写真についての指定がない場合は、完成写真だけでも問題ないケースもありますが、着工前後とあわせて工事中の様子や施工後に見えなくなる箇所などを写真に収めておくことで、トラブル防止にもなります。

また、公共工事や規定のある民間工事では、工事完了報告書以外に「工事写真台帳」の提出が求められることが一般的なので、あらかじめ計画的に工事写真を撮っておくようにしましょう。

なお、工事写真台帳の作り方については、こちらの「工事写真台帳の作り方とは?効率的に台帳作成するための6つの手順をご紹介」で詳しく解説していますので、参考にご覧ください。

工事完了報告書の作成時の注意点

工事完了報告書を作成する際には、どのような点に注意しておくべきなのでしょうか?

正確な情報を簡潔に記載

工事完了報告書では詳細な記録が必要となりますが、できるだけ簡潔な文章で作ることを意識しましょう。特に長い文章になると意図があいまいになり、正確に伝わらなくなるケースもあります。そのため、読みやすさを意識して書くようにしましょう。

また、工事写真を載せる際も、着工前後を並べて比較したり工程ごとにまとめたりするほか、必要に応じて余白部分に作業内容や日付などの情報を付け加えることで、視覚的にも情報量的にもわかりやすい報告書が完成します。

法的要件の確認

工事完了報告書や工事写真台帳などを作成する際には、あらかじめ法律で定められている要件や発注元に指定されている要件を確認してから作成することが大切です。

確認せずに作成を進めてしまうと、報告書の作り直しや写真の撮り忘れが発生してしまう可能性もありますし、ケースによっては行政指導の対象となってしまう可能性もあります。そのため、工事完了報告書や工事写真台帳などを作成する前には、関連する法律や発注元との契約条件を十分に確認し、それらの要件を満たすようにしましょう。

領収書の保存

工事に関係する支出があった場合は、領収書を保管しておくことも大切です。

工事に関係する費用とは、例えば工具や材料費、車両を使用した場合はガソリン代や高速道路料金など。これらの領収書は、発注者によっては提出を求められることがありますし、特に指示がない場合でも、工事完了報告書に記載する金額の証明として必要になるケースもあります。

そのため、工事に関係した支出があった場合には、必ず領収書をもらい、なくさないように保管しておきましょう。

提出期限

工事完了報告書は、期限を守って提出しましょう。特に、契約書に明記されている場合や発注者から具体的な期限が指定された場合は、工事完了後、すみやかに提出するようにしましょう。

また、「提出直前になって記載ミスが見つかった!」「修正に時間がかかるので、期限に間に合わない…」ということがないように、あらかじめ時間には余裕を持ち、複数人で内容に記載ミスがないか確認しておくことも大切です。

提出遅れや記載ミスは、発注者からの信用を失うことになり、それが次の受注のチャンスを逃すことにもつながります。そのため、提出期限に間に合うように、工事中の段階でもできる部分から報告書の作成を進めておきましょう。

工事完了報告書の保存期間

工事完了報告書の保存期間は、ケースによって異なりますが、建設業法施行規則第二十八条では、帳簿及び図書の保存期間は5年間、発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものは10年間としています。

“法第四十条の三に規定する帳簿(第二十六条第六項の規定による記録が行われた同項のファイル又は電磁的記録媒体を含む。)及び第二十六条第二項の規定により添付された書類の保存期間は、請け負った建設工事ごとに、当該建設工事の目的物の引渡しをしたとき(当該建設工事について注文者と締結した請負契約に基づく債権債務が消滅した場合にあつては、当該債権債務の消滅したとき)から五年間(発注者と締結した住宅を新築する建設工事に係るものにあつては、十年間)とする。”

引用:建設業法施行規則 第二十八条 (帳簿及び図書の保存期間)

建設業法のほかにも、商法や税法などではそれぞれ指定されている保存期間が異なるため、自社のケースにあわせて工事完了報告書の保存期間を確認しておきましょう。

工事完了報告書や工事写真台帳を効率的に作成するなら?

工事が完了した際に必要となる「工事完了報告書」や、工程ごとの工事の様子を記録する「工事写真台帳」の作成は、意外と時間と労力がかかるもの。中には、エクセルを使ってイチから自作しているというケースもありますが、効率的に作成するなら、やはり施工管理ツールを活用するのがおすすめです。

例えば、私たち「DEN-UP」なら、施工管理に役立つ「KANNA」や写真管理ができる「PhotoManager」などのアプリを連携させて利用することが可能。入力項目を独自にカスタマイズできるため、既に運用されているフォーマットや発注元の規定にあわせて工事完了報告書を作成することができます。

【施工管理ツール「KANNA」の特徴】

  • 現場別に顧客や物件情報を一元管理
  • 入力項目を独自にカスタマイズ可能
  • 入力済みのデータや写真から、写真台帳を簡単作成
  • スマホで簡単入力!日報などの記入を効率化

【現場写真管理ツール「PhotoManager」の特徴】

  • 図面上に写真を紐づけて記録可能
  • 過去の撮影画像を表示して撮影時の画角調整をサポート
  • 電子小黒板に対応、撮影した写真はクラウドで保存
  • 公共事業における最新の電子納品ガイドラインに対応

案件情報だけでなく、工事写真や日報なども全て一括して管理できるため、工事完了報告書が効率的に作成することが可能。「報告書作成の手間を省きたい…」「事務作業をもっと効率的に終わらせたい」とお悩みの方は、ぜひ一度、私たち「DEN-UP」にお問い合わせください。

電気工事のDXトータル支援サービス「DEN-UP(デンナップ)」

DEN-UPは、電気工事会社様に寄り添い、課題やお悩みをDXで解決するためのトータル支援サービスです。異なる機能を持つ以下のアプリケーションをまとめてご利用いただけます。

  • 施工管理に役立つ「KANNA」
  • 写真管理ができる「PhotoManager」
  • 人材育成を支援する「電気工事のまなび場」
  • ビジネスマッチングの「CraftBank」

DEN-UPなら、各ツールで登録した案件を紐づけて管理・閲覧できる「DEN-UP ConnecT」という独自機能を使ってKANNAとPhotoManagerを連携させることにより、案件情報と現場の写真を一元管理することも可能です。

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