今回は、電気工事における「歩掛(ぶかかり)」の特徴について、基本的な考え方や自社歩掛の計算方法などをご紹介します。

また、電気工事ならではの積算のポイントや注意点についてもまとめていきます。

歩掛に関する知識を深めたいご担当者様や、積算・見積もりの精度を高めていきたいというご担当者様まで、ぜひ参考にご覧ください。

  1. 1. 歩掛とは?電気工事の見積もりにおける基本概念
  2. 2. 歩掛の種類(標準歩掛・自社歩掛・補正係数)
  3. 3. 積算や見積もりとの関係
  4. 4. 自社歩掛の作成手順・計算方法
  5. 5. 電気工事における積算と歩掛の問題
  6. 6. 問題1. 部材の種類が非常に多い
  7. 7. 問題2. 同じ工事でも現場条件で作業時間が変わる
  8. 8. 問題3. 部材ごとに歩掛が細かく異なる
  9. 9. 問題4. 新しい部材・特注品は標準歩掛がない場合もある
  10. 10. 電気工事の見積もり精度を高めるポイント
  11. 11. ポイント1. 部材+取付手間をセット化する
  12. 12. ポイント2. 経験者によるOJTで積算ノウハウを共有する
  13. 13. ポイント3. 積算ソフトやCAD連動システムを導入する
  14. 14. ポイント4. 工事日報や工程管理をデジタル化する
  15. 15. 電気工事ならではの課題をDXで解決!
  16. 16. DXトータル支援サービス「DEN-UP」でさらに便利に!

歩掛とは?電気工事の見積もりにおける基本概念

「歩掛(ぶがかり)」とは、一定の作業量を施工するために必要な労務量(作業時間や人員)の基準値のことです。「人工(にんく)」という単位を用い、1人の作業員が1日(一般的に8時間労働)働くことを1とします。

例えば、1人の作業員がある照明器具1台を取り付けるのに、1日の労働時間の30%を費やす場合は、「1台あたり0.3人工」と表します。

【具体例】

工事内容 歩掛の例
照明器具取付 1台あたり0.3人工
配線敷設 10mあたり0.5人工
分電盤設置 1台あたり1.2人工

歩掛を用いることで、人件費や工期、作業人数の計算がスムーズになり、根拠ある数字として見積もりに反映させられます。

歩掛の種類(標準歩掛・自社歩掛・補正係数)

歩掛には「標準歩掛」と「自社歩掛」の2種類があり、さらに歩掛を細かく調整するための「補正係数」があります。

標準歩掛とは、国土交通省が公開している積算基準の歩掛です。「国土交通省積算基準」や「建設物価」といった公的資料に掲載されており、情勢に合わせて年度ごとに改定されています。

一方で自社歩掛とは、過去の施工実績をもとに作成した会社独自の歩掛です。標準歩掛が標準的な施工条件で設定されているのに対し、自社歩掛は実際の施工実績に基づいて設定されるため、より実態に近い数字を算出することができます。

そして補正係数は、基準とする歩掛に対し、現場の状況に応じて割増を行うための係数です。

例えば、高所作業や狭小地、隠蔽配線は、作業効率が低下しやすいため、通常の歩掛では実態に即した数字が出せません。また、現場が閉所する日(休日)も考慮する必要があります。このような現場の状況を反映させるために、主に標準歩掛に対して使用します。

積算や見積もりとの関係

歩掛は、積算や見積もりを構成する要素の一つで、主に「労務費」の算出に使用されます。

積算とは、図面や仕様書をもとに工事費を算出する作業です。工事に必要な原価を算出することが目的で、作業員を手配したり、材料を発注したり、実行予算を作成したりといった場面で活用されます。

そして、積算額に利益や諸経費を加算したものが見積もりです。積算は主に社内で使うための金額ですが、見積もりは発注者に提示する契約金額となります。

【関連記事】電気工事における積算とは?工事原価を正しく把握するための基礎知識や注意点をまとめて解説

自社歩掛の作成手順・計算方法

自社歩掛や補正係数の作成は、以下の流れで進めていきます。なお、作成した歩掛をまとめた表は「歩掛表」と呼ばれるのが一般的です。

【自社歩掛の作成手順】

  1. 作業単位の設定
  2. 過去実績の収集
  3. 歩掛・補正係数を算出

具体的な流れですが、まず工事での各作業を「配線1m」「コンセント1個」という具合に、計測できる単位にまとめていきます。

次に、それらの作業単位に対して、工事日報などから過去のデータ(作業時間、作業人数、施工数量など)を集めていきます。

そして最後に、収集したデータから歩掛を計算します。

【歩掛(人工)の計算式】

歩掛(人工) = 実際にかかった時間 ÷ 1日の標準労働時間

例えば、住宅用分電盤の取付作業について、1作業あたり作業員1人で4時間かかった場合、歩掛は「4 ÷ 8(8時間労働)」で「0.5人工」となります。

仮に分電盤の取付作業を20件依頼されたら、「0.5人工」に20をかけて「10人工」となり、「作業員1人だと10日間」「作業員2人だと5日間」という見通しが立てられます。

より実態に近い歩掛を算出するには、複数の施工データを平均化するのがポイントです。

電気工事における積算と歩掛の問題

電気工事は、他の建設工種と比べて、積算が難しい分野といわれています。どのような問題や課題があるのか、その主な要因についてご紹介します。

【電気工事における積算と歩掛の問題】

  1. 部材の種類が非常に多い
  2. 同じ工事でも現場条件で作業時間が変わる
  3. 部材ごとに歩掛が細かく異なる
  4. 新しい部材・特注品は標準歩掛がない場合もある

問題1. 部材の種類が非常に多い

電気工事は、数ミリ単位で異なる電線の太さや、多種多様なボックスコネクタ、ジョイント部材など、細かい部材が非常に多いのが特徴です。

そのため、図面からの数量拾い出しや材料単価の確認だけでも多くの時間が必要になります。特に大型施設のような規模の大きな工事では数千〜数万点の部材を扱うケースもあり、どこまで精密に計算していくのか、担当者の判断能力が問われるポイントです。

問題2. 同じ工事でも現場条件で作業時間が変わる

電気工事は、現場条件の影響を受けやすい工種です。例えば同じスイッチの取り付けでも、新築なのか改修なのか、あるいは高所作業なのかによって作業時間は大きく変わります。

実態を反映させるには、前述の通り、標準歩掛に現場ごとの難易度に応じた補正係数を掛け合わせる必要があるのですが、この判断には熟練の経験が求められます。

【具体例】

条件 作業効率への影響
天井高さ 高所作業で時間増
配線経路 障害物で施工困難
改修工事 既存設備の撤去が必要
狭小スペース 作業効率低下

問題3. 部材ごとに歩掛が細かく異なる

電気工事では、配線工事や器具取付、盤設置、ケーブルラック工事など、作業ごとに歩掛が設定されています。さらに、ケーブル径や施工方法、取付高さなどによっても歩掛が変わるので、非常に細かい積算が必要になります。

そのため、正確な積算を行うには、積算ソフトやCAD連動システムなどを利用しなければ難しいのが実情です。

問題4. 新しい部材・特注品は標準歩掛がない場合もある

電気設備は技術進化が早く、最新のLED設備やスマート設備、IoT機器、特注盤などでは、標準歩掛が整備されていない場合があります。

その場合は、類似工事の歩掛を参考にしたり、過去実績から算出したりと、経験に基づいた判断が必要になることも少なくありません。

電気工事の見積もり精度を高めるポイント

次に、業務の負担を軽減しつつ、見積もりの精度を上げるための具体的な手法を紹介します。

【電気工事の見積もり精度を高めるポイント】

  1. 部材+取付手間をセット化する
  2. 経験者によるOJTで積算ノウハウを共有する
  3. 積算ソフトやCAD連動システムを導入する
  4. 工事日報や工程管理をデジタル化する

ポイント1. 部材+取付手間をセット化する

積算の効率化として有効なのが「材料+施工手間」をセットにした単価管理です。

図面上の主要な機器をカウントするだけで、付随する細かな消耗品や労務費が自動的に算出でき、入力ミスが大幅に減らせます。また、細かい部材を一つずつ入力する手間も省略することができます。

【具体例】

項目 内容
コンセント取付 器具+施工手間
照明器具取付 器具+施工
スイッチ設置 材料+施工

ポイント2. 経験者によるOJTで積算ノウハウを共有する

電気工事の積算は、知識と現場経験の両方が必要です。

そのため、ベテラン社員の積算方法や現場条件による補正判断、原価管理の考え方などを、OJTで若手に共有することが重要です。

具体的には、ベテラン社員の知識と経験を盛り込んだマニュアルやチェックシートを作成して判断を標準化する、定期的に社内教育の場を設けるといった取り組みなどが挙げられます。

ポイント3. 積算ソフトやCAD連動システムを導入する

原価管理にExcelを使用している会社は多いかと思いますが、入力作業が煩雑であったり、前任者や他担当者が作成した関数のため扱いにくかったりと、作業者に負担がかかりがちです。

近年は電気工事向けの積算ソフトやCAD連動見積もり、数量拾い出しツールなどが登場しています。

材料マスタが最初から入っているため、最新の物価変動にも対応しやすく、手作業での拾い出し時間を大きく削減できます。

ポイント4. 工事日報や工程管理をデジタル化する

歩掛の精度を高めるには、工事日報や作業時間、工程管理をデジタル化しておくのがポイントです。

実際の作業時間や工種ごとの工数をデータとして蓄積することで、予定していた数字と実際の実績が簡単に比較でき、積算や見積もりを出す際のデータの拾い出し作業時間も短縮できます。

なお、工事に関するあらゆるデータのデジタル化には、施工管理アプリの活用が便利です。

施工管理アプリを使えば、工事日報や作業工程、工事写真、図面などのデータを一元管理できます。また、パソコンだけでなくスマートフォンやタブレットでも利用できるため、現場にいながらリアルタイムで情報の更新・閲覧が可能です。

【関連記事】工事の工程管理とは?工程表の作成手順や効率化に役立つツールの導入方法

電気工事ならではの課題をDXで解決!

電気工事の積算は、緻密さと現場感覚の両方が求められる専門性の高い業務です。

電気工事ならではの「材料の多さ」という課題に対しては、積算ソフトや施工管理アプリなどのデジタルツールの活用を進めることで、精度を落とさずにスピードを上げることができます。

適正な利益を確保するために、自社に合った効率化の仕組みづくりを進めましょう。

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DEN-UP(デンナップ)」とは、施工管理アプリ「KANNA(カンナ)」や写真管理アプリ「PhotoManager(フォトマネージャ)」を含む、電気工事会社様向けのDXトータル支援サービスです。

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