工事のスムーズな進行に欠かせないのが「工程管理」です。

特に電気工事では、他業種との調整や限られた工期内での作業が必要とされるため、工程がずれ込むと致命的なトラブルにつながることも少なくありません。

そこで本記事では、電気工事における工程管理の基本から目的、工程表の作り方、PDCAサイクルによる改善手法、現場での課題と解決策の糸口について解説します。さらに近年注目されている工事管理アプリでできることや導入方法、業務の効率化につながる活用術まで、詳しく紹介していきます。ぜひ参考にご覧ください。

  1. 1.工程管理とは?
  2. 2.工事管理の4大要素とは?
  3. 3.【1】工程管理
  4. 4.【2】原価管理
  5. 5.【3】品質管理
  6. 6.【4】安全管理
  7. 7.工程管理の目的は?
  8. 8.工程管理の目的①:納期遵守
  9. 9.工程管理の目的②:品質の維持
  10. 10.工程管理の目的③:リードタイム短縮
  11. 11.工程管理の目的④:情報共有
  12. 12.工程管理の目的⑤:コスト削減
  13. 13.工程管理の目的⑥:トラブル防止
  14. 14.工程表の作成方法と運用のコツ
  15. 15.WBSを使ったタスクの洗い出し方法
  16. 16.工程管理に使用される図表
  17. 17.PDCAサイクルを活用した工程管理
  18. 18.工程管理の課題
  19. 19.工程の遅延をいち早く改善する管理ツール
  20. 20.工事管理アプリでできることは?メリット・デメリット
  21. 21.工事管理アプリでできること
  22. 22.工事管理アプリ導入のメリット
  23. 23.工事管理アプリ導入のデメリット
  24. 24.工事管理アプリの導入方法は?
  25. 25.工程管理なら工事管理アプリ「KANNA」
  26. 26.電気工事のDXトータル支援サービス「DEN-UP(デンナップ)」

工程管理とは?

工程管理とは、簡単に言えば「工事を計画通りに進めるための段取り」のことで、作業がスムーズかつ無駄なく進行するように、スケジュールを管理・調整する役割を担っています。

特に電気工事においては、建築・設備など他業種との兼ね合いも多く、スケジュール調整が難しい場面も。そのため、工程管理が適切に行われていないと、納期の遅れや工事全体の遅延、追加コストの発生といったリスクにつながるのです。

また、工程管理は品質維持や予算管理、安全確保といった他の管理要素とも密接に関係しており、工事全体の成功を左右する重要な管理業務となっています。

工事管理の4大要素とは?

工事現場における管理業務には、「工程管理」の他に、「原価管理」「品質管理」「安全管理」と4つの柱があります。これらをまとめて工事管理の4大要素といい、バランスよく管理することが、施工品質や顧客満足度の向上につながっていきます。

【1】工程管理

工程管理は、職人の手配や資材の搬入タイミング、他業種との兼ね合いなど、全体の段取りを決め、計画通りに進行しているかを日々チェックする業務です。

【2】原価管理

原価管理では、見積もりに対する実績を常に比較し、材料費・人件費・外注費などが予定から逸脱しないよう調整を行います。

【3】品質管理

品質管理とは、設計図や仕様書通りの品質を確保するための管理業務です。使用する部材のチェックや施工手順の確認、完了検査の実施など、施工ミスや仕上がり不良を防止します。

【4】安全管理

安全管理は、現場での事故やトラブルを未然に防ぐための安全対策を管理する業務です。労働災害を防ぐ危険予知活動(KY活動)、保護具の使用徹底、現場ルールの周知など、安全第一の体制づくりが求められます。

【関連記事】工事管理とは?工事監理との違いや大まかな役割・業務内容をわかりやすく解説

工程管理の目的は?

次に、工程管理の目的について詳しく見ていきましょう。

工程管理の目的①:納期遵守

工程管理の目的の一つが、工事を予定通り完了させること。進捗状況を見える化し、工事の遅延を早期に発見できれば、速やかな対応が可能になります。引いては、発注者との信頼関係を築くことにもつながるでしょう。

工程管理の目的②:品質の維持

品質を確保するには、適切な人員配置や資材手配が欠かせません。工程管理によって作業の段取りを明確にし、過剰な負荷や無理な作業を防ぐことで、指示通りの施工品質を維持します。

工程管理の目的③:リードタイム短縮

工程管理によって業務全体が効率化されると、リードタイム(着工から完成までにかかる時間)も短縮します。無駄な待機時間や手戻りも減るので、生産性向上も期待できます。

工程管理の目的④:情報共有

現場作業では、関係者間の情報共有がポイントとなります。工程を見える化することで、チーム内の認識のズレを防ぎ、スムーズな連携を目指していきます。特に多職種が関わる現場では、情報共有の質が工事全体の質を左右するといっても過言ではありません。

工程管理の目的⑤:コスト削減

工程の段取りが明確になると、無駄な作業や待機時間が減らせます。また、材料の過剰発注や二重手配といったロスも防げるため、トータルでのコスト削減に直結します。

工程管理の目的⑥:トラブル防止

無理な作業スケジュールや、複雑な作業工程は、労働災害や品質不良のリスクを高めます。工程管理を徹底することで、こうしたリスクを事前に察知・回避できるようになりますし、万が一、トラブルが発生しても、柔軟にスケジュール変更しやすくなります。

工程表の作成方法と運用のコツ

工程管理を実践するうえで、カギとなるのが「工程表」です。現場の全体像を把握し、各作業の流れや期間を明確にするために、WBS(作業分解構成)や各種図表を活用してスケジュールを視覚化します。

WBSを使ったタスクの洗い出し方法

WBSとは「Work Breakdown Structure(作業分解構成)」の略で、工事全体を小さな作業単位に分解し、タスクを洗い出してまとめる手法です。作業漏れの防止や、各工程の工期およびリソースの明確化が可能になります。

タスクの洗い出しができたら、次に各作業の順序や関係性を整理し、工程表に落とし込んでいきましょう。

工程管理に使用される図表

工程表は以下のような図表を組み合わせて作成します。

【バーチャート】

各作業の日程を棒グラフで表示したもの。縦軸に作業内容、横軸に日付(期間)を記入します。各作業がどの期間に実行されるのか、全体の進行状況が把握しやすいチャートですが、進捗率の表示や作業の重なりの可視化はできません。

【ガントチャート】

バーチャートの一種で、縦軸に作業内容、横軸に日付(期間)を記入した棒グラフ。各タスクがどの期間に実行されるか、どれくらい進んでいるか(進捗率)を視覚化したものです。

【グラフ式】

グラフ式工程表は、縦軸に進捗、横軸に日付を記載して、曲線で進捗具合を可視化する図表です。定量的に進捗を把握することはできるものの、扱いがやや難しく、あまり一般的ではありません。

【ネットワーク式】

ネットワーク式工程表は「作業A完了→作業B開始」のように、作業のある地点とある地点を矢印で結んで表す図表です。作業の前後関係や因果関係が図式化でき、工程間の依存関係も把握しやすくなります。

PDCAサイクルを活用した工程管理

工程表を作成したあとは、PDCAサイクルを意識して作業を進めていきます。PDCAサイクルとは「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(確認・点検)」「Action(改善)」の頭文字をとったもので、この行動サイクルを継続的に行うことで、より精度の高い管理が可能になります。

  • Plan(計画):工程表の作成、リスクの洗い出し、他業種との調整など
  • Do(実行):現場での作業、工程表の共有など
  • Check(確認・点検):進捗・問題点の確認、品質チェックなど
  • Action(改善):工程表の修正、関係者への共有、トラブル対策など

上記のように、PDCAサイクルは「計画→実行→確認・点検→改善」という流れで、日々の工程管理をより確実に、効率的に行うための考え方です。

工程管理の課題

精度の高い工程表が作成できたとしても、電気工事の現場では、天候不良や資材の納入遅れ、同じ現場に入る他業種との兼ね合いなど、さまざまな外部要因によって、当初の工程が崩れるケースが多い傾向にあります。

工程が遅延すると、単に納期に遅れが生じるだけでなく、複数の作業が重なって現場が過密になり、安全管理が行き届かず、事故やトラブルにつながることもあります。さらに、作業の一部が止まり、無駄な待機時間が発生したり、後工程でタイトなスケジュールを強いられて仕上がりの品質に影響が出る恐れも考えられるでしょう。

また、紙の工程表やホワイトボードで工程管理を実施している現場では、情報共有や更新の手間から、属人化や伝達ミスが起きやすいという課題も。こうしたアナログ管理は、現場の混乱や手戻りの原因にもなりやすいです。

工程の遅延をいち早く改善する管理ツール

工程の遅延をいち早く改善するため、近年はデジタルツールを導入する現場が増えてきています。

代表的なデジタルツールとしてあげられるのが、エクセルやスプレッドシートなどの表計算ソフトです。これらの表計算ソフトは、導入コストが低く、自由度が高いというメリットの反面、工程の変更があっても関係者に自動で通知されないので、連携ミスや確認漏れが発生しやすく、スマートフォンやタブレットなどのモバイル端末では操作しにくいというデメリットもあります。

そこで近年注目されているのが、スマートフォンやタブレットで使える「工事管理アプリ」です。リアルタイムでの進捗確認や情報共有が可能で、現場のDX化(デジタルトランスフォーメーション)を一気に進める強力なツールとなっています。

【関連記事】工事業界や現場におけるDX推進の重要性を解説!導入時に発生しやすい課題・成功のポイントとは?

【関連記事】現場の業務を効率化!工事写真の管理ソフト・アプリでできること・選ぶ際の注意点とは?

工事管理アプリでできることは?メリット・デメリット

工事管理アプリはどのようなことができるのでしょうか?具体的な機能や、導入のメリット・デメリットについてご紹介します。

工事管理アプリでできること

工事管理アプリには、主に現場のスケジュール進行や、作業内容の見える化・共有・管理を効率的に行う機能が搭載されています。クラウドに自動で保存され、変更した内容もリアルタイムで関係者に共有することができるので、電気工事のような多工程・多職種の現場では特に効果を発揮します。

【工事管理アプリでできる主なこと】

  • 工程表の作成・共有
  • 進捗状況のリアルタイム共有
  • 書類・図面・写真などのデータ共有
  • 日報の記録
  • 過去データの蓄積 など

アプリによって内容は多少異なるものの、上記のような工程管理に欠かせない作業を一貫して行えるのが、工事管理アプリの特徴です。

【関連記事】工事写真台帳の作り方とは?効率的に台帳作成するための6つの手順をご紹介

工事管理アプリ導入のメリット

工事管理アプリは、リアルタイムで進捗状況を共有することができるので、納期の遵守や品質の維持、さらには無駄の削減によるコストダウンが実現しやすくなります。工程に遅れや変更が発生した場合も、すぐにシステム上で反映・共有できるため、意思決定や対応が迅速になりますし、結果的に作業時間の短縮や生産性の向上にもつながります。

また、全体の工程が「見える化」されることで、現場の職人や協力会社との連携もスムーズになり、作業の段取りがより効率的になります。

さらに、多くのアプリは直感的な操作が可能で、誰でも簡単に扱える点も、アプリ導入の大きなメリットだと言えるでしょう。加えて、現場・事務所・自宅など、操作するデバイスさえあればどこからでもアクセスできるので、働き方の柔軟性も高まります。

工事管理アプリ導入のデメリット

メリットが多い一方で、導入の際に初期導入費や月額利用料などの費用が発生することはデメリットの一つとしてあげられます。

また、現場の担当者がシステム操作に慣れるまで、そして文化として根付くまでには一定の時間がかかるかもしれません。特に、ITツールに苦手意識を持つ従業員にとっては、導入時に抵抗を感じる恐れがあります。

とはいえ、こうしたデメリットは、現場にあった適切なツールを選び、運用体制を整えることで、克服できる問題だと言えるでしょう。実際は、それ以上に得られるメリットの方が大きく、工程管理業務の効率化と品質向上に大きく役立ちます。

工事管理アプリの導入方法は?

工事管理アプリを導入する際は、まず資料を請求したり、説明会・相談会に参加したりして情報を集めます。そして、予算・人員体制・規模に応じたツールを選びましょう。また、事前に自社で困っていることを洗い出しておくとアプリ選びの基準になりますし、デジタルツールに不慣れな環境であれば、サポート体制が充実しているかという点にも着目してください。

導入開始時は、現場責任者から試験的に使い始め、徐々に他のスタッフにも展開する流れがおすすめです。

工程管理なら工事管理アプリ「KANNA」

人手不足やベテラン作業員の退職が進む中、経験や勘に頼らず「仕組み」で管理する体制づくりが求められています。そのカギを握るのが、デジタルの力です。

私たち電気工事のDXトータル支援サービス「DEN-UP(デンナップ)」では、工程管理をラクにする管理アプリ「KANNA」をご提供しています。

「KANNA」の特徴

  • 現場別に図面や写真などの案件情報を一元管理
  • 情報共有によって案件情報の属人化が防げる
  • 既存のフォーマットに合わせて効率的に報告書の作成が可能
  • 工事の進捗やスケジュールについてもアプリ上で共有可能
  • 追加料金なしで協力業者を招待して情報共有が可能

さらに、現場や会社のルールに合わせて使う機能や入力項目、管理権限などを自由にカスタマイズすることもできます。

操作方法も一般的なチャットツールなどと変わりませんし、疑問点や困りごとが出た時は、 専門スタッフによるオンラインでの個別相談もご利用いただけます。

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電気工事のDXトータル支援サービス「DEN-UP(デンナップ)」

DEN-UPは、電気工事会社様に寄り添い、課題やお悩みをDXで解決するためのトータル支援サービスです。異なる機能を持つ以下のアプリケーションをまとめてご利用いただけます。

  • 施工管理に役立つ「KANNA」
  • 写真管理ができる「PhotoManager」
  • 人材育成を支援する「電気工事のまなび場」
  • ビジネスマッチングの「CraftBank」

DEN-UPなら、各ツールで登録した案件を紐づけて管理・閲覧できる「DEN-UP ConnecT」という独自機能を使ってKANNAとPhotoManagerを連携させることにより、案件情報と現場の写真を一元管理することも可能です。

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