
建設・土木業界において、プロジェクトの成否を分けるといっても過言ではないのが「積算」です。どれだけ良い施工をしても、積算が不正確であれば赤字を招き、会社に利益を残すことはできません。
そこで本記事では、積算とは何か、積算の基礎知識から見積りとの違い、具体的な作業の流れ、作業時の注意点についてご紹介します。また、精度を高めて効率化するためのポイントについても解説します。
- 1. 積算(せきさん)とは?
- 2. 積算のやり方は?計算ルールと費用項目の構成
- 3. 積算は「積算基準」を参考に算出
- 4. 工事価格の構成
- 5. 工事原価の内訳
- 6. 【5つのステップ】積算の具体的なやり方
- 7. ステップ①:積算を開始する前の準備
- 8. ステップ②:数量拾い(計測・計算)
- 9. ステップ③:単価設定と歩掛の適用
- 10. ステップ④:内訳明細書の作成
- 11. ステップ⑤:最終確認と見積書の作成
- 12. 積算の作業時に注意すべきポイント
- 13. ポイント①:図面からの部材拾い出しは慎重に
- 14. ポイント②:最新の資材・労務単価を把握する
- 15. ポイント③:追加費用が発生する想定で
- 16. ポイント④:積算の作業に割く時間も考慮する
- 17. 積算を効率化するには専用ソフトやDXツールを
- 18. DXトータル支援サービス「DEN-UP」でさらに便利に!
積算(せきさん)とは?
積算(せきさん)とは、建築や土木工事において、設計図や仕様書をもとに必要な部材、人員、設備、運搬、管理費など、あらゆる「工事原価」を積み上げて算出する作業のことです。
「見積りと何が違うの?」と疑問に思う方もいるかもしれませんが、決定的な違いは利益を含めるかどうかにあります。
積算は工事に必要な原価(コスト)を算出するのに対し、見積りは積算で出た原価に、会社の利益を乗せて顧客へ提示する価格です。
このように、積算は公共工事・民間工事を問わず、工事内容や工期を正確に把握するために欠かせない業務の一つです。根拠のない金額で受注してしまう赤字受注を避け、確実に利益を確保するための土台となります。
積算のやり方は?計算ルールと費用項目の構成
積算は、担当者の勘や経験だけで行うのではなく、業界標準のルールや社内の実績に基づいて、信頼性の高い数字を出していく必要があります。その具体的なやり方について、計算ルールと費用項目の構成について見ていきましょう。
積算は「積算基準」を参考に算出
積算の最大の指針となるのが、国土交通省などの公的機関が設定している「積算基準」です。これは公共工事における価格や計算方法を定めたガイドラインであり、いわば業界共通の計算ルールです。
公共工事や大規模な案件はもちろん、民間工事であっても、この基準をベースにすることで、発注者に対して根拠のある適正価格であることが証明できます。
工事価格の構成
工事価格は、工事原価と一般管理費の大きく2つの枠組みで構成されています。
工事原価とは、 現場を動かすために直接・間接的にかかる費用です。一方、一般管理費とは本社の維持費や営業費など、会社運営のための費用です。
これらを合計したものが、最終的な工事価格となります。
工事原価の内訳
工事原価をさらに細かく見ると、直接工事費と間接工事費に分かれます。簡単に説明すると、直接工事費は現場に形として残る費用、間接工事費は現場を円滑に進めるための費用です。
【直接工事費】
- 材料費、労務費、外注費、直接仮設費など
【間接工事費】
- 共通仮設費: 仮設トイレ、資材置き場、仮設電気などの共通設備
- 現場管理費: 現場監督の人件費、通信費、保険料、近隣対策費など
【5つのステップ】積算の具体的なやり方

次に具体的にどのような手順で積算を進めていくのか、5つのステップで解説します。
【積算の5つステップ】
- 積算を開始する前の準備
- 数量拾い(計測・計算)
- 単価設定と歩掛の適用
- 内訳明細書の作成
- 最終確認と見積書の作成
ステップ①:積算を開始する前の準備
まずは設計図書や仕様書を読み込みます。工事の範囲や使用資材のグレード、施工条件を正確に把握しましょう。
また、現場説明では搬入経路の狭さや周辺環境など、図面だけでは見えないコスト要因を特定します。
ステップ②:数量拾い(計測・計算)
図面から、項目ごとに必要な資材や作業量を計測します(面積・体積・長さ・個数など)。
ここで重要なのがロス率の計上です。実際に使った材料や作業時間が、計画の数値を上回った分を比率化したものをロス率といいます。材料の切り回しや施工中の破損を考慮し、実際の使用量に数パーセントのゆとりを持たせて計算します。
ステップ③:単価設定と歩掛の適用
次に、数量に対して単価を掛け合わせます。
材料単価は最新の物価資料(物価本)やメーカーの見積りを参考にします。
一方、労務費の計算で欠かせないのが「歩掛(ぶがかり)」という概念です。
歩掛とは、特定の作業を完了させるために必要な人数や時間を数値化したもの。 単位には「人工(にんく)」が使われます。例えば1人工は、1人が1日(8時間)で行える作業量を指します。
そして労務費は、この人工に賃金や手当、社会保険料を掛け合わせた人件費の合計金額です。
【計算例】
- 1つの作業に合計32時間かかる場合 = 32時間 ÷ 8時間 = 4人工
- 労務単価が3万円の場合 = 4人工 × 3万円 = 12万円(労務費)
ただし、同じ工種でも、施工方法や環境が異なると歩掛や労務量が変わるため、積算は単純な計算ではない点に注意が必要です。
積算基準の数値をベースにしつつ、現場が狭いなどの特殊条件があれば補正係数を掛けて調整します。
ステップ④:内訳明細書の作成
続いて、拾い出した数量と単価を掛け合わせ、直接工事費(材料費・労務費・外注費)を合算していきます。さらに、この直接工事費に基づいた経費率を用いて間接費(共通仮設費・現場管理費)を算出します。
ステップ⑤:最終確認と見積書の作成
最後に、会社運営に必要な一般管理費を乗せ、利益調整を行って最終的な工事価格を決定します。
一般管理費についても、基準に定められた経費率を適用することで、業界で妥当とされる一般管理費が機械的に算出できます。
計算ミスや項目の漏れがないか、また類似案件の過去データと比較して妥当性を確認し、見積書に反映していきます。異なる担当者による二重チェックも実施しましょう。
積算の作業時に注意すべきポイント

施工規模が大きくなるほど材料数・条件変動・数量の積み上げ範囲が大きくなり、計算の正確性が重要になります。そこで次に、積算の精度を上げ、トラブルを未然に防ぐためのポイントをご紹介します。
【積算の作業時に注意すべきポイント】
- 図面からの部材拾い出しは慎重に
- 最新の資材・労務単価を把握する
- 追加費用が発生する想定で
- 積算の作業に割く時間も考慮する
ポイント①:図面からの部材拾い出しは慎重に
図面から部材・数量を拾い出す作業は時間と労力がかかりますが、ここでのミスは材料費のみならず全体の積算額に影響するため、慎重に進める必要があります。材料不足や大幅な予算超過を招く要因となるため、慎重に進めていきましょう。
ポイント②:最新の資材・労務単価を把握する
積算基準は毎年改定されます。最新の積算基準を確認し、古い料率を使わないように注意が必要です。また、昨今の社会情勢による物価高騰や、地域ごとの人件費の変動にも気をつけましょう。
ポイント③:追加費用が発生する想定で
先ほどもご紹介しましたが、現場では、作業が複雑で思いのほか人員が必要になったり、施工ミスが発生したりと、追加費用が発生するリスクを考慮して積算額を設定することが重要です。
そのため、積算ではロス率を適切に計上し、原価を余分に見積もっておくことを心がけましょう。
ポイント④:積算の作業に割く時間も考慮する
現場での材料費や労務費だけでなく、積算の作業に割く時間・工数にも注意を払う必要があります。
すべての案件で同じ労力をかけると効率が悪化する可能性があるため、案件の規模に応じた適切な時間配分や、デジタルツールの活用で、効率化を図っていきます。
積算を効率化するには専用ソフトやDXツールを
重要かつ複雑な積算業務を効率化するために、現在は多くの企業がデジタルツールを導入しています。
代表的なツールが積算専用ソフトです。最新の積算基準や歩掛が適用され、工種を選ぶだけで自動計算してくれる便利な計算ツールです。基準書をめくる手間が省ける上、計算ミスも大幅に削減できます。
このような専用ソフトの他、施工管理アプリなどのDXツールも積算に役立ちます。施工管理アプリとは、現場の図面や写真、工程表、日報、報告書などの業務を一元化するツールです。
積算に必要なデータを1つのアプリから拾い出すことができ、さらに別作業者が担当した過去のデータも参照できるため、より実態に近い精度の高い積算が可能になります。
「エクセルや手書きでの積算作業に限界を感じている」「積算作業を効率化したい」「人手不足で積算できる人材が少なく困っている」とお困りの方は、こうしたシステムの活用も選択肢に入れてみてはいかがでしょうか。
DXトータル支援サービス「DEN-UP」でさらに便利に!

異なる機能を持つ以下の厳選したDXツールをパッケージ化したサービスで、各ツールを個別で契約するよりもお得になり、さらに、アプリ同士で案件情報と現場写真を紐づけて一元管理することが可能です(「DEN-UP ConnecT」)。
- 施工管理に役立つ「KANNA」
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